ソメイヨシノ 真夏に木陰のオアシス

記録的な暑さが続く今年の夏。
外にいるだけでくったりと力を奪われてしまう人間とは反対に、街の樹木は強い日差しの中でも元気いっぱい、生き生きと葉を茂らせている様子がそこかしこで見られます。

そんな夏真っ盛りの今回の樹木は、日本人と最も親しい関係を築いてきたサクラの代表種、ソメイヨシノです。
数百種に上るサクラの園芸品種のうち、ソメイヨシノは成長の速さ、見栄えのする花の美しさから最も好まれ、明治以降、爆発的な勢いで植樹が進みました。

 

 

全国各地、学校や公園、街路樹など街のいたるところ目にすることができますが、やはり見頃は美しい花を咲かせる春。ではなぜこの時期に?と思われるかもしれませんが、サクラの各種にとって夏は重要な季節。実は、照りつける太陽のもとで次の春に咲く花芽をつけているのです。
写真は葛飾区某所の住宅地の一画。ソメイヨシノのアーチが続く通りがありました。

 

 

 

道の両脇から青空を覆うように伸びる枝葉は、熱いアスファルトの地面に涼やかな影を落とします。ただの日陰と違い、水分を蒸発させる葉のおかげで木陰は幾分涼しく、一息つける心地よい空間をもたらしてくれます。
照りつける太陽から私たちを守ってくれる一方で、人知れず次の春に花を咲かせる準備を始めているソメイヨシノ。季節ごとに寄り添い方を変えながら、日本人の生活に息づいてきたことを感じました。