短い梅雨が明け7月に入り、東京はひとっ飛びで真夏へと向かって日中の気温をぐんぐん上げています。強まる日差しに、街の木々も緑の深さを日に日に増しているようです。そんな平成最後の夏の始まりにご紹介するのは、日本人に親しみ深い低木、ツツジです。
アジアに広く分布するツツジは、日本でも古くから園芸品種として親しまれ、交配を重ねて多くの品種が生み出されてきました。そのため多くのツツジの仲間が、春には白や淡いピンク、濃い赤や紫など鮮やかな花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれています。ですが花が見頃の春が過ぎ、夏の青々としたツツジに目を向けることはあまり無いのではないでしょうか。
文京区根津、この地にある根津神社はツツジの名所として知られています。境内の3000株を超えるツツジは3月の終わりから5月にかけて色とりどりに咲き競い、この時期のつつじまつりには毎年多くの人が訪れます。
根津神社のツツジは花を散らすと、きれいに剪定された丸い姿を保ったまま新葉を開きます。葉の色が一段と濃くなる今の季節、もこもことしたツツジの姿は苔むした岩のようにも、あるいは小さな森のようにも見えます。
強い日差しが少しずつ陰る夕方、連なる株の陰影は深まり、より一層豊かな緑の表情を見ることができます。
春に咲く花や、秋の紅葉が見どころの樹木も、少し時期をずらして見てみることで、このように新鮮な美しさを発見することができるかもしれません。