ムクノキ 古木の発するエネルギー

住みたい街としても名高い吉祥寺の駅からほど近く、武蔵野市と三鷹市にまたがる都内有数の人気スポットが井の頭恩賜公園です。
年間を通じて多くの人々が散策に訪れる井の頭公園ですが、その中心には神田川の源である井の頭池があります。池沿いにはサクラを中心に多くの木々が植えられ、四季折々の姿で来園者を迎えています。今回はその中に、力強い姿をみせるムクノキを見つけました。

池に向かってせり出すように伸びる幹は、そこから吹き出した新芽にびっしりと覆われています。枝葉が重なり合う姿を下から見上げると、この木が全身で呼吸をしているような力を感じました。
ムクノキは成長の早く、芽を出す力が強い木だと言われています。

 

 

また古木になると樹皮が剥がれ落ちるのが特徴で、写真でも幹の上の方にその跡が見られます。このことから井の頭公園のムクノキもある程度の樹齢を重ねていることが分かりますが、実は幹の途中から芽吹いている様子からもそれが言えます。

 

 

 

胴吹き」というこの状態は、葉から根まで全体に栄養が回らなくなった樹木にみられるもので、幹から直に葉を出すことで緊急の光合成を行なっているのです。
ムクノキを見上げたときに感じた力は、勢いを徐々に失いながらも生きようとする命のエネルギーだったのかもしれません。