カンヒザクラ 力強い春の息吹

3月の始まりとともに春一番が吹き、気温が一気に上昇した今週。暖かな日差しの中で、一際鮮やかな早咲きのサクラをご紹介します。

浜離宮恩賜庭園はすぐ側にオフィスビルが立ち並び、目の前を首都高が通る都心の喧騒の中にありますが、一歩足を踏み入れると四季折々の草木が美しい、穏やかな空間が広がっています。この時期、園内ではさまざまな種類の梅や、ぐんと成長した菜の花が来園者の目を楽しませてくれますが、中でも一際濃く鮮やかな色で視線を集めるのがカンヒザクラです。

 

カンヒザクラは中国南部〜台湾に自生し、日本では沖縄でよく見られるサクラの原種の一つです。ビビットな緋紅色の半開した花が、釣鐘状に下を向いて咲く姿が特徴で、淡いピンク色のサクラをイメージするとその違いに驚くかもしれません。散り方も他のサクラの様に花びら一枚ずつ散るのではなく、萼ごとぼとっと落ちていきます。

 

カンヒザクラは、淡い色の花々が多い季節にあって、春霞を吹き飛ばすような力強さがあります。目の覚めるような春の息吹を感じに、浜離宮恩賜庭園へ訪れてみてはいかがでしょうか。