メタセコイア 生きている化石の移ろい

今年も残すところあと40日。寒波とともに年末の慌ただしい雰囲気もひしひしと感じるこの頃ですが、そんなときこそ自然に目を向けてホッと心を落ち着かせたいものです。さて今が最盛期の紅葉ですが、今回はこれから見頃を迎える木をご紹介します。
メタセコイアという木をご存知でしょうか。はじめ日本を含む北半球の各地で化石として見つかり、その後中国で現生種が発見された「生きている化石」です。メタセコイアの名は、化石を発見した植物学者、三木茂によって「(常緑針葉樹の)セコイアに似ているが異なるもの」という意味で1941年に命名されました。日本の気候によく合い、高いもので30mを超えるほどに成長する針葉樹です。
名前の由来であるセコイアしかり、マツやスギなど針葉樹は秋になっても青々とした葉を保っているイメージがありますが、日本には紅葉して葉を落とす針葉樹が4種類ほど存在します。メタセコイアはそのひとつ、12月中旬にかけて細長い羽状の葉が赤茶色に染まるのです。葛飾区の水元公園には、なんと1800本を超えるメタセコイアが立ち並び森をなしています。そこに一歩足を踏み入れると、針葉樹ならではの深さのある樹冠に細かく密集した葉がわっと視界を覆い、まっすぐ伸びる幹が視線を上へ上へと導きます。化石で見つかった植物が季節を追って変化していく姿を見ると、壮大な時間の流れの中にいるような不思議な気分になります。見慣れた紅葉とはひと味違うメタセコイアの森に、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。